「受付のお仕事」に未来はあるの?受付職からのスキルアップ・キャリアアップの目指し方

「受付のお仕事」に未来はあるの?受付職からのスキルアップ・キャリアアップの目指し方

「もっと待遇のいい職場に行きたい」「今はアルバイトだが、正社員を目指したい」…長く働いていると、キャリアアップを狙った転職が一つの選択肢に上がってくるもの。新たな職場探しに踏み出す時には、自分の経験やスキルをしっかり伝えられるよう整理しておきたいですよね。


受付職からのキャリアアップ・キャリアチェンジに成功した人は、自分の強みをどうやってアピールしたのでしょうか? 経験談もあわせてご紹介します。


「コミュニケーション能力がある」だけでは評価されない?!


受付職経験者からは「特別なスキルがなくても、笑顔で応対ができれば務まる仕事。就職しやすく、いろんな人が活躍できる一方で、キャリアアップを目指すのが難しい側面もありました」(インフォメーション・30代)というコメントも。


「受付をしているとその会社や施設について必然的に詳しくなり、ご案内もスムーズにできるようになりますが、他の会社に転職するとその知識は役に立たず、イチから覚え直しに。どこの会社に行っても通用するスキルを自発的に身につけておかないと、転職では苦労するのかも」(同)


また、受付職の最大の武器のひとつである「コミュニケーション能力」は、履歴書や面接では評価されにくいのも悩みの種のようです。


「受付職が対人能力を鍛えてきているのは当たり前。人柄の良さをアピールするだけでは他の人と差別化しにくく、キャリアアップに繋がりにくい。

受付とは別の職種に転職しようとすると、『受付って、普通の接客業と何が違うの?』と聞かれてしまうことも。自分の経験をうまく伝えられず、苦労している同僚もたくさんいました」(ホテルフロント・30代)


そんな中で、企業にとって魅力的な人材だと思ってもらうには、どうしたら良いのでしょうか? 


業務に役立つスキルを磨いて、キャリアアップに活かそう


「受付は売上のノルマや数字の管理がない分、精神的な余裕を持って日々のルーティンワークに取り組むことができました。その分、仕事にも役立つスキルを自発的に磨いていくことが大切なのかな、と思います」


と教えてくれたのは、百貨店の受付で働いていたAさん。PC作業が得意だったAさんは、自主的にエクセルや自動化システムの勉強をし、その結果受付業務のペーパーレス化にも貢献。それが評価され、今は百貨店全体のサービスや企画を考える部署に異動になったのだとか。


スキルを活かした経験談は他にもあり、


「インフォメーションセンターで英語応対をすることが多かったので興味が湧き、自分でも英会話スクールに通って勉強。最初は挨拶程度しか話せなかったのが、団体客が来ても慌てずご案内ができるようになりました。英語力を活かして、外資系企業の受付に転職しました」(インフォメーション・30代)


「未経験から始めたクリニックの窓口業務アルバイト。健康保険の種類やカルテの見方など、働きながら専門知識を覚えることができました。今は医療事務資格の勉強中。資格を活かして正社員登用を目指しています」(医院受付・30代)


など、受付での仕事をきっかけに、転職に有利になる資格を取っておくのもキャリアアップのひとつの手。特定の資格を持っている人には手当が出る会社もあるそう。また、会社によっては、福利厚生で英会話や資格の勉強ができるところもあるので、今の職場の福利厚生もチェックしながら、スキルアップを目指してみてはいかがでしょうか。


「コミュニケーション能力」を細かく分析、他業種でも役立つスキルとしてアピール


ホテルフロントのTさんは、4年間のリゾートホテルでの経験を経て転職。今はベンチャー企業でサービス運営の仕事をしています。


「例えばホテルのフロントは、お客さまからの要望を伺うことが多いので、客室係やレストランなど、他部門への情報連携や指示も大切な仕事。情報のハブとして、リーダー的なポジションになることもありました」


お客さまの中には、お祝いや、サプライズのプロポーズで訪れる方も。そんなお客さまにとっての一大イベントを、各部門の仕事やスケジュールを把握し、迅速丁寧に依頼して進行するフロントの仕事で培った能力は、他業種のプロジェクトマネジメントにも通ずるものがあったそう。


普段のコミュニケーションを細かく分析することで、別の業界でも活かせるスキルとしてアピールすることができました。


受付は企業のブランディングに関わる仕事だと心得よう


Tさん(ホテルフロント・30代)からはこんなアドバイスも。


「接客は大変な仕事ですが、漫然とこなしていくだけでは視野が狭くなってしまいがち。ですが『自分がホテルのブランディングの一端を担っているんだ』という広い視野をもって働いている人は、接客のクオリティUPはもちろん、お客さまをお待たせしないために事務作業を効率化したり、他部署への理解を深めるために積極的にコミュニケーションを取ったりと、結果的に実績やスキルの幅が広がっていく人が多かったように感じます」


実際にTさんの同僚は、より待遇の良い高級ホテルにキャリアアップしたり、ホテルのデザイン事務所に転職したりして活躍しているそうです。



「会社の顔」とよく言われるように、受付職は会社のブランディングにも大きく貢献している仕事。自分の日々の仕事を違った視点から見直してみると、スキルアップにつながる新たな発見があるかもしれません。